出荷前に、営業のメモと出荷指示を照合する
印刷物が予定どおりに仕上がっても、納品先や部数の伝達が食い違うと、積み直しや再配送が発生します。複数の納品先を扱う印刷会社の営業・出荷担当者には、顧客と確認した条件と社内の出荷指示を並べ、違いと未確定事項を洗い出す使い方が向いています。AIには照合表の下書きを作らせ、出荷担当者が原文で確かめ、条件が揃ってから出荷します。
文章のメモと表形式の指示書は、そのまま読むと対応する箇所が分かりづらいものです。納品先、日付、部数、受取条件を一行ずつ比較し、双方の根拠を添えると、誰に何を聞けばよいかが見えてきます。両方の資料が同じ誤りを含む場合、照合だけでは発見できません。顧客が承認した最新版を確認できることが前提です。両方とも同じ形式の表なら、先に表計算の比較機能で足りるかを確認しましょう。
1.照合する資料と項目をそろえる
顧客と確認した納品条件と、同じ案件の社内出荷指示を用意します。案件番号と資料の版や更新日を控え、旧版を分けます。初回は社内で利用を認めた生成AIのチャットに、架空の納品情報をテキストで入力します。実案件に進む際は、社内ルールとサービスの利用条件を確認し、氏名、住所、連絡先、単価など照合に不要な情報は外します。納品先は両資料で同じ仮名に置き換えます。
2.違いと未確認を分けて出力する
次の指示文の末尾に、2種類の資料を貼り付けます。AIが作る表に原文があれば、確認者は該当箇所まで戻って判断できます。
同じ印刷案件の[顧客確認メモ]と[社内出荷指示]を照合してください。 納品先ごとに、納品日・部数・受取条件を比較し、「納品先と項目/顧客確認メモの原文/社内出荷指示の原文/判定/人が確認する質問」の5列で出してください。 同じ意味で明記されていれば「一致」、両方に記載があり内容が違えば「相違」、片方でも記載がない、または確定していなければ「未確認」としてください。記載がない欄は「記載なし」とし、日付や受取条件を推測しないでください。納品先の対応が不明なときは組み合わせず、未確認として残してください。 最後に各資料の部数を納品先別に並べ、総部数は内訳が揃う場合だけ計算してください。出荷の可否は判断しないでください。
架空の入力例
顧客確認メモ 11月20日着。A店300部、B店200部。B店は午前中のみ受取可。
社内出荷指示 11月20日着。A店200部、B店300部。B店の受取条件欄は空白。
期待する出力の一部
- A店の部数は「相違」。顧客メモは300部、出荷指示は200部。営業に「A店は300部で確定ですか」と確認します。
- B店の部数も「相違」。総部数が両方とも500部でも、配分の違いが残ります。
- B店の受取条件は「未確認」。出荷担当が「午前中に届けられる便を手配できていますか」と確認します。
これは判定の見本です。実際の出力では、数量の単位や「納品日」と「発送日」の取り違えがないかも原文で確かめます。
3.確認しづらい結果は、条件を絞って出し直す
合計が合うので全部一致と出た。 納品先別の比較が省かれています。「A店とB店の部数を別々に判定し、総部数は最後に書いてください」と追加し、各店の数量を原文で再確認します。
空欄に『時間指定なし』と書かれた。 記載がないことを、制約がないことと解釈しています。「空欄の受取条件は未確認とし、配送担当への質問に変えてください」と指示します。修正後も元の空欄と対応しているかを確認します。資料の版が分からない場合や訂正が続く場合は、AIでの照合を止め、営業と出荷担当で原本を確認します。
修正と承認まで含めて時間を測る
相違・未確認の項目には確認担当を付けます。営業が顧客との合意内容を確定し、出荷担当が修正後の指示書を原本と突き合わせます。修正日時、根拠資料、承認者を残し、部数・納品先・日付・受取条件のいずれかが未確定なら出荷指示を保留します。総務省・経済産業省の「AI事業者ガイドライン」も、AI利用者が出力の精度やリスクを理解して利用する考え方を示しています。
仮に1件の照合が手作業で12分、AI利用で資料準備2分・出力1分・確認と修正5分なら、差は4分です。月30件で120分、人件費を1時間3,000円と置くと月6,000円相当の作業時間です。これは試算です。ここから追加のツール費や確認表の維持にかかる負担を見込みます。出荷後のミスを減らせたかは、照合時間と分けて記録します。
今日試すなら、納品先が2か所ある架空案件を1件
部数の入れ違いと受取条件の空欄を一つずつ入れ、営業と出荷担当の2人で判定を確認します。次に、利用できる過去案件を数件使い、重要項目の見落としと確認を含む所要時間を手作業と比較します。重要項目に見落としが出る間は試行にとどめ、確認手順と資料の揃え方を見直します。
参考資料(2026年11月7日確認) 総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン」
関連記事 PDFの表をAIで転記するときに確認したい3つのポイント
関連サービス AI導入支援・業務改善

